友人の経営コンサルタントS氏は毎年暮れになると「やめるリスト」を作成して、「来年は○○をやめる!」と周囲の関係者たちに宣言するのだそうである。
彼は「やめるリスト」という考え方を次のように説明している。

凡人が悩むのは「やることリスト」を作るからで、毎年決意を新たに元旦から始めてみても、「やること」は続かない。
「やること」と決めたことが長く続いていたらていたら、どいつもこいつも孫正義や三木谷浩史みたいに出世している。

・・・なるほど簡明である。

これまでの私は「〇歳までの〇年間に売り上げ目標を達成し、その後、新規の事業計画を実行して・・・」と、社労士事務所開業以来15年間「やること」の企画や計画ばかりを頭の中で描いて走ってきている。
しかし、この世に生を受けて60余年、社会人になって40年、事務所を開いて15年が過ぎているのだから、そろそろ自分の能力の限界を自覚し、「やりたいこと」基準で「次にやること」だけを考えてきた日々も、そろそろ終わりにしなければいけない・・・と考えるべき時(トキ)が来ているように思えてくる。

個人事業主や同族企業の場合、経営者は気力、体力の続く限り交代しないケースが多いが、大手企業ではプロ経営者をスカウトして経営の再構築を図る事例がしばしば報告されている。
企業の経営を社外から招いた人に任せることで、過去にとらわれない自由な視点で「選択と集中」を推し進め、企業をリフレッシュするという行動の中には、きっと「やめるリスト」作りも含まれているに違いない。
大手企業でも生き残りのための必須の手法だとすれば、私のような弱小個人事務所は、なおさら考えなければ・・・と思っている。