『無難な人材はいらない』7月に東京で開催された統計学に関するセミナーに参加した際、講師の一人楽天の執行役員の方が口にされた言葉です。
経済成長が右肩上がりであった時代なら、無難な考え方をする人材の使い道もありましたが、経済が安定し、あるいは右肩下がりの時代にあっては、リスクを意識し何事にも挑戦する人材でなければ、企業は必要としないという話でした。
無論、様々なタイプの人材を揃えて日々の企業活動に取り組むわけですから、『無難な考え方』をする人材が全く必要とされなくなったわけではありませんが、時代の先端を突き進む企業の経営者の言葉には、強く心を揺さぶられました。
私自身は日頃から、個々の企業の経営において、企業を取り巻く環境全体を見て判断する無難なマクロ的な見方よりも、自社の持っている特性や潜在能力におけるリスクを把握するミクロの見方をすべきだと申し上げております。
例えば、同じ地域の同業他社の景気動向を分析し、それをモノサシにして自社の状況を評価し、今後の事業展開を検討することは、一見無難な方法のように思えますが、少しの間他社に差を付けることは出来ても、継続的に成長し続けるようなアイデアにはつながらないと思うのです。
企業の成長には人材育成は欠かせませんが、育成しようとする人材の素養として、何事にも『無難であろう』とする潜在意識を持つ人材は、育成しにくいのではないでしょうか。そういった視点で見ると、採用時に評価する社会人経験の長さはマイナス要因かもしれません。採用に際し、敢えて『未経験者限定募集』を掲げる企業も最近では珍しくないようです。