事務所通信をお読みの皆様、新年を健やかにお迎えのこととお喜び申し上げます。
本年も矢島社労士事務所ならびに事務所通信を宜しくお願い致します。
新たな年の始まりは1月1日ですが、わが国では国や地方自治体などの会計年度の始まりは4月1日と決まっています。
この4月始まり、生まれたときからその流れの中で60年も生きてきましたから、『どうして4月始まりなの?』なんて考えたこともありませんでしたが、何故か気になり調べてみました。
すると我が国の会計年度が4月~3月制となったそもそもは大変な苦労の末の妥協案のようなものでした。
明治政府が誕生した明治元年(1868年)の会計年度は旧暦の1月~12月制だったそうですが、明治2年には新米の収穫時期に合わせて旧暦の10月~9月制となり、明治5年の太陽暦採用により明治6年からは新暦の1月~12月制に戻り、明治8年7月からは地租の納期に合わせて7月~6月制を採用。
その後、軍事費の増大等により予算が枯渇し明治18年度分の酒造税を明治17年度に繰り入れてしまったため、明治19年(1886年)から酒造税の納期に合わせて4月~3月制となり、なんとそれ以降太平洋戦争後も変わることなく今日に至っています。
明治19年当時は今のように国債発行で歳入不足を補うという手は使えなかったのか考えられなかったのか、いずれにしても明治時代の大変な財政難が4月~3月制を生んだ要因のようです。
ところで我が国と同じ4月~3月制の会計年度を採用している国には、イギリス、カナダ、インド、デンマークがありますが、お隣の韓国や中国、そしてフランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、スイス、ロシアは1月~12月制、アメリカは10月~9月制だそうです。
ちなみに昭和47年(1972年)に田中角栄首相が1月~12月制移行を唱えたものの大蔵省の反対で実現できなかったそうです。
4月~3月制が採用されて約130年間、4月~3月制の中で今の日本のすべてが動いていますから、会計年度を変えるとなると大変でしょうね。