人手不足


テレビやラジオの出演者が挨拶の冒頭に「早いもので今年も師走を迎えました」と添える月となりました。
皆さまにとって2017年はどのような一年だったでしょうか。
今年も一年を振り返るシーズンを迎えました。

さて、私の今年一番のニュースは自宅近くに事務所を移転したこと。
以後、半年近く経ちますが、新しい事務所では『仕事をしているなぁ…』と感じることが多くなりました。
きっとスタッフも同じように感じてくれていると思います。

取敢えず一歩前に進みました。
来年は今後の事務所の運営や仕事のやり方について見直してみたいと考えています。

私の二番目のニュースが、仕事で関わってきたある業界に関してなのですが、『人手不足の一番の原因はこれだ』と信じていたことに疑念が生じたことです。
信頼できる筋からの情報を疑うこともなく、人手不足解消のための活動に取り組んできました。
しかし、今年、新たな情報に触れて『この業界の人手不足の一番大きな原因は別のものかも?』と疑い始め、今ではほぼ確信に変わりました。

正直に申し上げますが、「ショック」でした。
これまで10年近い期間、私のアドバイスは一番大きな的(マト)を外していたことになりますから。

私たちは数多くの情報の中から「必要な情報」、「正しい情報」などを選び出し、それらをベースに自分なりの判断を組み立てていきます。
間違いなく正しい情報だと思っていても、実は「正しいかもしれない」程度の情報、あるいは「正しいとは言えない」問題情報かもしれません。

個々の情報を時間を費やして慎重に吟味する時間的余裕が許されないのなら、仕事を進めつつ時々立ち止まって全体を俯瞰する余裕を持ちたいと思っています。


おおよそ30年間、中小企業の採用の業務や採用に関係することを生業としてきた者として、昔も今も思うことが二つあります。

一つは「公正な採用を意識して採用活動を実施することは、結果に現れる」ということ。

もう一つは「中小企業ほど人手不足の把握が曖昧」ということです。

「公正な採用」については厚労省が毎年度詳しいリーフレットが出しますから説明は省きますが、公正な採用を励行することは、【応募者に広く門戸を開く】ことと、その応募者の【適正と能力】を真剣に選考するということです。
有能な応募者に応募の機会を広く提供し、適正と能力を判断の基準として採用する企業であれば、将来に向かって成長すること間違いがないと思うのです。

しかし、現実は違います。
意味もなく応募者を限定し、あるいは選考時に関係のない事柄について質問し、あるいは応募者本人の知らないところで聞き取り調査することは珍しくないのです。

また、人手不足の把握については、大変失礼な言葉で申し訳ないのですが、『足りない気がする』というような「経営者の勘」に基づいて決定されていることが多いように思います。
もちろん「中期経営計画に基づき毎年の採用活動を計画している」企業もありますから、すべての募集採用活動を批判するつもりはありませんが、人手不足というお話を聞いて「社長、何人足りないのですか?」とお尋ねし、その不足人員算出の根拠についてさらに質問すると明確なものを答えていただけない場合がほとんどなのです。

経営資源には「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つがあると言われ、その筆頭に「ヒト」が挙げられていますから、間違いなく一番大事な資源です。
それだけに新たな人材を確保する採用活動には、もっと真剣に取り組むべきだと思います。