先日、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立しました。
この中では、長時間労働規制などの内容が含まれていますが、それに伴い、事業主に対する従業員の労働時間の把握の責務について、明文化されました。
そして、具体的な取り組みについて、ガイドラインが策定されました。
今回のこのことについて取り上げます。
まず、労働時間とは・・・
「使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間」をいいます。
つまり
必ずしも、労働契約や就業規則などに定められている時間ではなく、客観的に見て、使用者から労働者に義務付けられている行為かどうかで判断されます。
仕事開始前に制服などに着替えたり、仕事が終わった後、掃除をしなくてはならない場合は?
それが使用者の指示によるものであれば、明示的・黙示的いずれであっても労働時間とみなされます。そのため、その時間を含めると法定時間を超えるという場合は、残業代を支払う義務が発生します。
待機時間は?
それが、使用者からの指示により即座に業務に従事しなければならないなら、労働時間とみなされます。(トラック運転手の荷下ろしや荷積みで待機する場合など)
本人の能力向上のための研修や教育訓練は?
参加することが義務付けられているならば、労働時間とみなされます。
使用者が講ずべき措置として、以下が示されています。
使用者は労働者ごとに、労働日数、労働時間数、休日・時間外・深夜時間数といった事項を適正に記入しなければならない。
「休日」と「休暇」は言い回しが違うだけで内容は同じだと思われがちですが、意味はまったく違います。
割増賃金にも影響しますので、どのように違うのかの認識は、未払い賃金を防ぐためにもとても大切です。
今回は、この休日・休暇について取り上げます。
休日と休暇では、まず労働の義務があるかないかで違いがあります。
さらに
休日については、労働基準法第35条で以下のように定められています。
つまり
使用者は1週間に1日、又は4週を通じて4日以上の休日を必ず与えなくてはなりません。
この休日は労働基準法に定められている休日なので、通称「法定休日」と言われます。
これに対して使用者が独自に定める休日を「法定外休日」と呼び、土曜日、祝日、会社の創立記念日、夏季休暇、年末年始休業などがあります。(※カレンダーで通知する場合が多いです)
法定休日に出勤した場合は35%の割増賃金を支払わなければなりません。
法定外休日に出勤を命じたために、その週の労働時間が40時間を超えると25%の割増賃金が発生します。
休暇には、
等があります。
(「休業」は法的な語句ではありませんが、休暇のうち、特にその期間の長いものを示す言葉として慣用的に使われています。)
年次有給休暇については、雇い入れの日から6箇月間継続勤務し、その間の全労働日に対して8割以上出勤した労働者については、最低10日、その後1年を経過する毎に一定日数を加算した日数を与えなくてはならないと定められています。
週の所定労働時間が30時間未満の労働者については、与える日数は少なくなります。
年次有給休暇以外の休暇については、有給にしなくてはならないという定めはなく、無給でも構いません。
就業規則が備え付けられている事業所では、無給とするか有給とするかを就業規則に明記しておく必要があります。
振替休日とは、あらかじめ、休日となっていた日を労働日として、その代わりに他の労働日を休日とすることを言います。
休日労働に対する割増賃金は不要です。
代休とは、突発的な業務などの対応により、あらかじめ予定していなかった休日労働をして、別の日に休みをとることを言います。
休日労働になるため、休日労働としての割増賃金が発生します。