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事務所通信『やじまのちょっとひとこと』平成28年2月号~5月号までを掲載いたしました。
『将来の労務管理』をテーマとし、労働時間や労働生産性など、労働管理の重要なポイントを取り上げています。
「5年後のわが社」を想像しながらお読みください。
平成28年の【矢島のひとこと】では、将来の労務管理をテーマにして『5年後』をキーワードにしてお伝えしています。
今回は採用のために5年後の評判を作ることについて。
…と、書き出すと「えっ?評判ですか?」と意外に思われるかもしれませんね。
しかし、会社の評判って、いざ変えようとしてもなかなか変わりません。
以前に勤務していた経験からすると、高校卒採用に取り組もうとしても、地域での評判が上がらなければ、なかなか応募者は出てきません。
新卒の採用でしたら軽く10年を要すると覚悟した方がいいかもしれません。
新卒採用をあきらめて必要な人材を中途で採用しようと試みても、地域での評判が芳しくなければ、採用向けの広告宣伝費はまさしくお金をドブに捨てるようなもの。
広告宣伝費に見合う応募者数が得られない理由は世間の評判が悪いのかもしれません。
逆に地域内で良い評判を得ている企業には一度の求人広告で選考に困るほどたくさんの応募があります。
では、どうしたら良い評判が得られるのか。
一番の近道は現在勤務している社員さんに『私の勤めている会社は、本当に良い会社だ』と思ってもらえること。
そのためには、どんなことをすればよいか、じっくり考えてみることですね。
思い切って社員に質問してみるのもよいかもしれません
『あなたは御子息をわが社に勤務させたいですか?』
人事制度の構築を検討する場合、一番重要な点は「評価」だと思います。
「評価のやり方」、「評価の基準」、「評価の運用」などと言葉にすれば数文字であらわせますが、「御社の評価の仕組みはどうなっていますか?」とお尋ねすると、トップに一任であったり、長く見直しされていない評価表を出されたり、何もないという答えも多く明確な答えを返していただける中小中堅企業は稀です。
開業以来、私の事務所に大体年に数回、「人事評価のひな型をもらえませんか?」という話をいただきます。
お話を伺ってみると、ひな型を土台にして自社の評価表を作ろうとお考えのケースがほとんどです。
多分、時間的制約が理由なのでしょうが、この方法は目標へのアプローチとして、明らかに間違ったコースを進むことになります。
「評価の仕組み作りに形から入るケースでは、多くの場合、時間の無駄になります。」と時間を作ってお話ししていますが、私の力不足ゆえに正しく理解していただけることはほとんどありません。
しかし、将来を見据えたとき、評価の仕組みを作って難しいながらも運用ができるなら必ず良い結果が生まれてきます。
仕組み作りの最初の着眼点は「評価の仕組みを作る目的は何か」「この評価の仕組みを作ることで、5年後のわが社をどうしたいのか」をじっくり考えることだと思います。
先月号の「矢島のひとこと」では、日本の労働者の年間総労働時間は5年後には短縮が進んでいると予想しましたが、皆様はいかがお考えでしょう。
ところで「ブラック企業」という言葉をよく見聞きします。
このブラック企業とはどんな業種が多いのでしょうか。
製造業に多いとお考えでしょうか。
私は小売業やサービス系の業種の割合が多いと見ていますが、的外れではないと思います。
日本の製造業はトヨタ自動車に代表される生産性の高い企業が収益を確保して勝ち組となっていますが、小売業や飲食業でも生産性が高い企業が勝ち残っていると断言できるでしょうか。
私はブラック企業の多くが生産性追求ではなく、短期的な利益追求を優先するがために適正な人件費を軽視せざるを得なくなっていると見ています。
また、福利厚生や従業員の健康管理も当然軽視しなければ生き残れなかったわけです。
今後5年という時間軸で考えれば現状のブラック状態のまま、何も改善できない企業の多くが淘汰され、そして勝ち残った小売業やサービス業が何に取り組んだ結果勝ち残るのか…「労働生産性の向上」がその答えだと思います。
最近は人手不足だと言われますが、本当に人手が足りないのか、それとも人員配置や仕事の進め方に工夫が足りないのか、考えるための時間を掛けるべき問題だと思います。
先月号の事務所通信の私の「今年の景気予想」について、「無責任だ」とか「いい加減なことを書くな」といった類のご叱正を一つも戴きませんでしたので、黙認して戴いたものと勝手に判断し、今月からは『5年後の労務管理の形』つまりこれから労務管理はどう変わっていくのだろうかという、いわばトレンド予想を書いてみたいと思います。
初回は労働時間、これは私が今一番注目しているテーマなのですが、事務所通信の読者の皆様は将来の労働時間はどうなると思われますか。
私は【年次有給休暇の付与日数の増加】と【年次有給休暇の取得率は上がる】と予想していまして、これによって国民一人当たりの年間総労働時間は確実に減少します。
経済成長が低調であっても我が国の労働力の需給は、常に不足気味に推移します。
例えば外国人研修生や実習生は、名称や運用の形は違うものの本質的には労働力の需要に基づいて成立しています。
今後不足する労働力の調達は、日本人の長時間労働や休日出勤で補うよりも、外国人の労働力輸入で対応する傾向は今よりも強まります。
無論、現在一部の非正規労働者にしわ寄せがいっていますが、これも時間は掛かるものの是正傾向に進展します。
なかなか進まなかった日本の年間総労働時間ですが、今後5年で短縮が進むと予想しています。