世はまさに『働き方改革』一色。
新聞誌面を眺めると、記事や広告にほぼ毎日この言葉が見られます。
さて、政府が「改革」を使って「改善」を使わなかったのは何故か、また、どうして「革新」ではないのか、単に耳触りを考慮してのことではないと思います。
今回は少し掘り下げて考えてみます。
一般的に「改善」とは現状肯定の視点で改良を加えることをいい、「改革」とは現状否定の視点で新しい姿にすることと言われています。
つまり、「改善」はこれまでの延長線上にあるので変革の度合いは小さく、「改革」は将来を見据えるため、必ずしも延長線上にあるとは限らず、従って変革の度合いは大きくなる傾向にあります。
また「革新」は新しいことに変えることですから、変革は更に大きなものになります。
つまり変革の度合いに限って比較すると「改善」<「改革」<「革新」となります。
組織の経営者や個々の労働者にとって、変革はある種刺激的ですが穏やかなものではありません。
季節の変わり目に体調を崩す人がいるように、根本的な変化というものは、組織や人に複雑な形で影響を与え、ときには大きな痛手を伴うことにもなりかねません。
昭和20年代の労務の仕組みを基盤とし、必要な都度改正で繋いできた枠組みを、政府は「改善」以上「革新」未満の「改革」によって大きく変えようとしています。
さて、私たちはどのように対処すべきでしょうか、組織のリーダーには、「働き方改革」の変革に対する知識や想像力、乗り越えるために決めた手段を遂行する強いリーダーシップが求められると思います。