「最近の新入社員はすぐに会社を辞めてしまう」
という話をよく聞きますが、事務所通信3月号でお伝えしたとおり、実は新卒新入社員の3年以内の離職率は30年前とほとんど変わっていません。
しかし「最近の若者には忍耐力がない」「とにかく打たれ弱い」という評価もしばしば耳にします。
しかし、それは 「職場の上司」や「会社のトップ」の感じ方であって、関係ないとは言い切れませんが「新入社員」側の辞める理由ではありません。
では新卒新入社員は何故辞めていくのでしょうか。
本当の理由は何なのでしょうか?
アンケート調査結果では、新入社員が会社を辞める理由のトップは、「キャリアアップしたい」、その次が「仕事が面白くない」「給料が低い」と続きます。
でもこれらの理由は離職を願い出て上司がスムーズに受理してくれる可能性の高い理由です。
言わば、職場でもめずに辞める都合の良い口実に過ぎません。
退職した新入社員の意識調査では、会社を辞める一番の理由は「職場の人間関係」。
なんと離職の原因の80%がこれだと言われています。
当然ですが、職場の人間関係が原因なら「課長、あなたが嫌いだから辞めます」と本当の理由を言うはずはありませんよね。
このように、新入社員は辞める理由を正しく告げないことが多いのですが、これに対して経営者や上司は『退職を願い出た本当の理由が他にあるのではないか?』とは考えないようです。
しかし、辞めたいと思った本当の理由が職場にあるとしたら、新入社員の早期離職が毎年続く可能性も出てきます。
『わが社は新卒に限らず中途採用者でも早期離職が多いようだ』と思われたら「辞める本当の理由」を探すことをお勧めします。
二月になりました。
今年の立春は二月四日、その前日の二月三日が春の節分となります。
労務に携わっている方にとって、二月は給与計算期間が短かったり1カ月単位の変形労働時間制の場合、法定労働時間数の上限が160時間であったりと、年に一度だけの二月独特の取り扱いが発生します。
どうして二月だけが28日(閏年は29日)なのかは、ネットで調べてください。
さて、よく言われる言葉に“二月は逃げる”という言葉があります。
『二月になったと思ったらもう月末だよ』なんて経験はどなたにもあると思います。
この“逃げる”二月に労務管理で気を付けていただきたいことの一つが新卒新入社員の受け入れ準備です。
『新卒は卒業後の4月入社』であることは間違いありませんが、今月あたりから時間を掛けて検討していただきたいのは教育研修の体制と計画です。
中小企業の場合、一人は経営者の方、もう一人は配属職場の責任者、そして新人の直接の教育係、この3者が時間的に余裕のある二月から計画的に話し合い、受け入れ前の環境整備、研修計画書の策定、一定期間ごとの進捗状況の確認手順の取り決め、必要であれば詳細な計画の策定までを誰か一人に任せるのではなく、3者が責任をもって話し合うことが大事です。
中小企業のトップが忙しいのはどこの会社でも同じですから、つい「君の部下に配属するから君に任せたよ」と言いがちですが、それは禁句と考えて、トップ自らが教育研修メンバーの一人として関わることで新入社員の成長と早期の戦力化に顕著な違いが出てきます。
教育研修計画で一番大事なことは継続性、何があっても取りやめずに続けること。
そのためにも事前に十分な時間を掛けて計画する段階からトップが参画し、トップでさえ『忙しい』という免罪符を持ち出さない姿勢を示すことが新卒新入社員研修の成功には極めて有効です。
日々の業務に加えて新卒新入社員の研修計画を立案するわけですから、速く始めないと中身のない計画しかできないかもしれません。