先日、平成29年度の最低賃金が発表されました。
最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2つがありますが、一般によく取り上げられるのは「地域別最低賃金」です。
地域別最低賃金は、都道府県毎に決められ、概ね10月1日から効力が発生(発効)します。
つまり、10月1日以降は、新しく決められた最低賃金以上の賃金が払われていないといけないという事になります。
今回は、今年の発効日が来月に迫った最低賃金法について取り上げます。
最低賃金法(第4条)では、使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金以上の賃金を支払わなければならないと定められています
どうやって決まるの?
最低賃金審議会が中央と地方にあり、「中央最低賃金審議会」が「地方最低賃金審議会」に引き上げ額の目安を出します。「地方最低賃金審議会」はその目安を元に審議して、都道府県労働局長に答申し、決定されます。
最低賃金は ①労働者の賃金、②労働者の生計費、③通常の事業の賃金支払能力 を総合的に勘案して決められるとされており、生活保護との整合性も加味されます。
賃金や生計費は都道府県によって違うなぁ…
だから都道府県によって最低賃金が違うんだなぁ。
Caution!
地域別最低賃金に違反すると最低賃金法違反により50万円以下の罰金になってしまいます。以下の地域別最低賃金をご参考下さい。
地域 | 地域別最低賃金(時間額) |
---|---|
岐阜 | 800円 |
愛知 | 871円 |
三重 | 820円 |
東京 | 958円 |
千葉 | 868円 |
埼玉 | 871円 |
栃木 | 800円 |
厚生労働省HP参照
学生アルバイトの賃金もこの地域別最低賃金以上にならないといけないのかなぁ。
A: 業種や職種に関わりなく、基本的に全ての労働者に適用されます。
10月1日が給与計算期間中の場合はどうしたらいいのかなぁ。
A: 給与計算のご担当者は少し面倒ですが、給与計算期間であっても10月1日以降分の賃金は地域別最低賃金以上になるように設定する必要があります。
ここで働く作業者がそれぞれ一つの品物を完成させるために、25歳のAさんは30分、65歳のBさんは1時間掛かります。つまり1時間でAさんは2個、Bさんは1個を完成させています。そこでこの会社はAさんにBさんよりも高い時間給を支払っています。
ところが最近の不況で値下げを余儀なくされ1個売っても700円しか儲かりません。Aさんは1時間に2個作れますから1,400円の利益に貢献してくれますが、Bさんは700円分しか貢献してくれません。年金で生活しているBさんはたとえ時給700円でも働かせてほしいと言いますが、最低賃金(岐阜県は713円)の定めがあり、Bさんにも最低賃金以上を支払わなければなりません。さて、会社はどうしたらよいのでしょうか?
労働基準法第11条では、賃金は「労働の対償として支払うもの」と定義され、賃金を労働時間に応じて支払うという文言はここには見当たりません。しかし、最低賃金法は厳しい罰則が定められている法律なのです。
今回の選挙では『日本維新の会』が最低賃金の廃止をマニフェストに掲げています。物価が下落しモノの値段が年々下がる時代にあって最低賃金廃止論は検討に値すると私は思いますが、皆さんはどう思われますか?